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草津駅 土鍋で炊き上げた「ぼたもち」と、コーヒーの苦みが最高だった

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草津駅

 

滋賀県・草津は、「関西でもっとも住み心地の良い街」として選ばれたことがある。

大阪と京都までは電車で1時間もかからず、それでいて車を走らせればのどかな田園風景と琵琶湖の景色が広がっている。これといった特徴はとくにない。だけど、暮らす分にはそれくらいのほうがちょうどいいのかもしれない。

 

関東出身の私としては「草津といえば温泉だろう…硫黄臭がしないじゃないか…」という感じだったんだけど、不思議なもので3年も滋賀に住んでいると「草津といえば大阪で働く人たちのすみか」というイメージがついてきた。これはひとえに私のすばらしき順応性・適応力の高さによるものだろう。

そんな草津に夫婦で訪れた。子どもができてから初めての夫婦だけでの外出。子どもは、埼玉から来ているおばあちゃんが見てくれている。いつ泣くかわからない子どもが近くにいないというのは落ち着くようで落ち着かないようで、まあ最終的には落ち着く。

 

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草津駅に着くとまず目につくのは松の木々と石碑だった。ここらは東海道の宿場町として栄えた場所らしいんだけど、個人的にはどういう気持ちでその石碑に思いをはせれば良いのかわからない。

 

「昔はみんな、遠くから歩いてきてこの草津の宿場町に泊まったのかなぁ…」

 

そう思いをはせてみると、「大阪のベッドタウン」として成長している今も大して変わらないのかも。

 

niwa+ 

草津駅は滋賀県ではかなり都会なほうであり、駅前にいくつかの百貨店がある。田舎の百貨店感というノスタルジーを感じるほど古くもなく、とても中途半端な使いやすい百貨店だ。

そんな道を歩いているとき、百貨店が並ぶ一角に異様に場違いなおしゃれなスポットを見つけた。

 

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緑あふれる公園のような場所に、おしゃれなカフェのようなお店がいくつも並んでいる。

 

「あ、ここですか? 嫌だなぁ自由が丘ですよぉ」

 

そう女の子に言われれば「なるほどここが自由が丘ですか!!」と頷いてしまうほどのおしゃれ感が漂っているなぁ。

とりあえず証拠写真をいくつか撮っておくことにする。お花がキレイだ。春だ。やっぱり春は花だよなぁ。いやでも花より、

 

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団子だよなぁ。

ということで和菓子屋を見つけた。老舗感があふれだしている。不思議と吸い込まれてしまう。不思議だ。これは一体何の現象だろうか。

普段は甘いものはまったく食べないし、あんこなんてもってのほかなのに、なぜだか無性に柏餅かぼたもちが食べたくなってきた。なぜだろう。どこで薬を盛られたのだろうか。さっきの自由が丘の女の子が、明らかに怪しい。

「光が差し込むカフェで、薬盛っちゃったんですよぉ(ニコリ)」というリバティーヒルズ(自由が丘)女子の声が聞こえてくる。

 

店に入ろう。

 

 

店員 「よろしければどぉぞぉ」

 

 

来た。

京都弁のはんなり感を残しつつ、言葉自体は標準語に近いので非常に聞き取りやすい、滋賀弁だ。滋賀弁はあまり知られていないが、県外から来た男性には結構評判が良い。

滋賀弁の女子店員が渡してくれたのは「あも」という四角いあんこだった。

 

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http://niwatasu.jp/kanou/

 

 

店員 「土鍋で炊きあげているんですぅ」

わたし 「土鍋ですか」

店員 「はいぃ。そちらの土鍋ですぅ」

わたし 「土鍋ですか…」

 

 

「土鍋」の情報量に嫉妬する。言われてみれば、ほのかなあずきのいい香りがする。きっとお店に入ったときからずっと香っていただろうに、いまさらに気づいてしまった。それくらいにほのかな香りだけど、気づいてみるとすごくいい香りだ。甘ったるくない、スキっととした香りだった。

お皿に出された「あも」に楊枝(ようじ)をさしておそるおそる食べてみる。あんこ、嫌いなんだよなぁ… しかも女子店員はまだこちらを見ているし気軽に「うわ、やっぱあんこマズ!!」ってしかめっ面もできないしなぁ… あれ、なんだこれは… 

 

 

「うまいじゃんか…!!」

 

 

隣りにいる奥さんも、どうやら同じ感想だったようだ。和菓子屋に入っておいてなんだけど、私たち夫婦は甘いものがそんなに好きじゃない。とくに「あんこ」は大嫌いだ。

だけど時々無性にあんこを食べてみたくなるときがある。それは、老舗のような佇まいで店を構えるところのあんこが、めちゃめちゃうまいときがあるから。

 

そんな出会いに惹かれて無性に食べたなるときがある。

あとはリバティーヒルズ女子に薬を盛られたときだろうか。

 

ここのお店は前者であった。ものすごい老舗感がある。おそらく400年は歴史がある店なんだろう。めちゃめちゃうまい…

(調べてみれば50年を少しこえたところであった。ふむ)

 

ぼたもちとコーヒー

わたし 「ぼたもちを、1つずついただけますか」

店員 「はいぃ。こちらのぼたもちも、土鍋で炊きあげてるんですよぉ」

わたし 「土鍋」 

 

 

文字にしてみると滋賀弁は「ゆるふわ女子」のようでイラッとする人もいるかもしれないけど、実際にはかわいい方言なんですよ。

 

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店を出てすぐのベンチに座り、きなことあんこのぼたもちを食べ始める。

 

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モチっとしていて、歯に少しだけくっつくような癖になる食感。やっぱりここのあんこは、甘すぎなくて上品でおいしい。あんこについてのコメントって総じて「甘すぎなくて良い」ってなりがちだなぁ。ま、いっか。

 

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少しあまいぼたもちを食べて、コーヒーを一口を飲む。甘いのあとに、苦いが来る。この対象的な味が本当にうまい。

ちなみにコーヒーは廃れきれていない百貨店のマクドナルドで調達してきている。

 

 

わたし 「和菓子もコーヒーも子どものときには食べれなかったよね」

奥さん 「そうだねぇ」

 

 

また一つ、大人の階段を登ってしまったようだ。

もう一つのきなこのぼたもちをハムハムしながら、広場でのんびりコーヒーを飲む。これって大人というより、もう老人の域なのではないだろうか。大人の階段の横を、エレベーターで快走しているようだ。

 

今回ご紹介したお店「叶 匠壽庵」

 

住所 滋賀県草津市渋川1-1-60
最寄駅

 JR草津駅 徒歩3分

電話 077-563-5030
営業時間

 1F 和菓子販売 9:30~20:00

 2F 甘味・食事 10:00~18:00(ランチ 11:00~15:00)

定休日 水曜日
参考価格 ぼたもち160円
URL 叶 匠壽庵 (カノウショウジュアン)|草津駅前niwa+(ニワタス)

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