学生時代に、当時の彼女(今の奥さん)と行ったトルコの旅行記。旅先で記録していたEvernoteの日記に添えて、今の気持ちを「あとがき」として書いていこう。
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夫婦トルコ旅行の3日目|トロイでトイレについて考えたこと
ホテルバイキング
朝起きてすぐ、ホテルのバイキングに行く。トルコでは生野菜が危険だから食べないほうが良いと言われたけれど、食べられるメニューが少なすぎる。料理の3割がチーズとは、どういうことか。
でもチャイはおいしかった。インドや日本で飲んだチャイはミルクと砂糖がたっぷり入っていたけど、トルコで飲んだのは濃くて苦くて、それがいい。
バイキングのあと、私とちか(奥さん:以降「ちか」)が同時にトイレに行きたくなったので、ちかは先に部屋に戻り、私はフロントでトイレを済ませた。部屋に戻ろうと思っても、ちかがトイレと愛を確かめ合っているせいで部屋にいれてもらえない。
ドアの前で立ち尽くす私を見て、同じツアー客の人が、「なぜあの人は閉め出されているのだろう…」みたいな顔で私のことを見てきていた。
有料のトイレ
バスに乗り込みガイドさんの話を聞く。このガイドさんの話、一体どれだけの人が聞いているのだろう。日本人の反応は、とっても薄い。きっと反応はないけれど、しっかり聞いているのが日本人の国民性なんだろう。
高速から見える景色はひまわりが多く、所々満開のところもあった。ひまわりは食用油として使うらしく、他にもカボチャやオリーブなど、トルコ人は油を好むらしい。確かにイスタンブールの海岸にいたおじさんたちのたぷたぷのお腹が、それを物語っていた。
パーキングで買ったリプトンがおいしかった。外国の飲み物って甘すぎるものが多いから、サッパリした飲み物に出会うと感動する。
パーキングでトイレに行くとき、初めてお金を払ってトイレに行った。1トルコリラ約42円分の用を足さないといけない気がしたけれど、特に大きな成果はなく、多少の悲しさを覚えた。
普段は何気なくしているトイレも、もし多少の料金を払うのであれば意識は変わるのかな。駅のトイレで考えれば、利用者は無料で使えると思っているために清掃者への意識はほとんどない。
清掃者側も駅のために働くという意識があるかもしれない。
これがトルコのように利用者と清掃者が直接お金で結びつくと、利用者は清掃者を意識し、清掃者も利用者が快く使えるように、もしくはクレームを受けないようにと、より意識するようになるんじゃないだろうか。
でも、実際にトルコのトイレが綺麗かというとそうではない。だから、このトイレ直接払い論争はここらへんでやめておこう。いつまで海外で、トイレについて考えているんだろう。
絶食と時代の流れ
トルコでは今、ラマダンという絶食のときらしい。
ただ、絶食と言っても1ヶ月何も食べないのではなく、1ヶ月の間で「日が出ている時だけ」は食事、性行為を行ってはいけないということらしい。
トルコでは政教分離が行われているので、教えを守らなければならないというわけでもない。実際に多くの若者はラマダンを行わなくなって来ているらしい。
それが良いことなのか、悪いことなのかはよくわかならない。無宗教の私にその思いを理解することは、もしかしたら一生できないのかもしれないと思った。
今回の昼食は魚料理とのことだけど、また美味しくない。いつになったら美味しいご飯が食べられるのだろう。
バスを舟に乗せて
昼食の場所を出発した後は車も乗るくらいの大きい船に乗った。
広島の宮島に行く時にも同じような船に乗ったけど、今回の船の大きさはその比じゃなかった。汚い車を掻い潜りながらデッキへと進んでいる時、外国人と日本人の車に対する意識の違いを再確認する。やはり外国人にとっては、車は大事な物ではなくて、ただの手段なんだろうな。
トロイ
トロイにて木馬と遺跡を見る。
トロイの木馬という言葉を聞いたことがあるけれど、実在するとは思っていなかった。しかも木馬は「おまけ」で遺跡の方がメインだとは想像もしなかった。
トロイ遺跡は紀元前3000年から9回にわたって同じ場所に遺跡が作られており、その回数や、初めての碁盤の目の遺跡ということで世界遺産に登録されている。ただ、今ではボロボロの跡地しか残ってなくて、印象としては暑い・陽射し強い・ダルいといったイメージの方が色濃く残ってしまった。
陽射しが本当に強くて肌がピリピリする。明日は今日より暑いということなので腕にも日焼けどめを塗ろう。
木馬の中には入れる。予想以上に小さくてガッカリする。
関係ないけど、トロイに関わらずトルコのトイレは何故鍵が壊れているのだろうか。
海外のLINE
トロイを後にしてからホテルに向かう途中のバスで、ちかはLINEをしていた。
LINEって便利だけど簡単に人とつながれて怖い。海外にいても日本の人と日常を共有するのは、異国感がなくてちょっとイヤだ。
最近は何もせずにボーッとした時間を過ごすことができなくなってきた。空いた時間はTwitterやニュースとか見てしまう。それは確かに時間を有効活用しているのかもしれないけれど、頭の休息や、ゆっくり考える時間を捨てているのではないのかな。
なんかスマホ触りたいな、という思いを捨てるのは中々難しい。
エーゲ海のホテル
今回のホテルはリゾート風の高級ホテルだった。
プール付き、
エーゲ海のビーチ付き、
部屋からはエーゲ海が望めるオーシャンビュー。
食事の場所も豪華だったが、味はやっぱり微妙だった。
今回の旅行で日本料理の素晴らしさを実感することが多い。
食事の後はエーゲ海でぴちゃぴちゃした。夕日が綺麗な時間帯で、ちかはたくさん夕日の写真を撮っていたけど、エーゲ海にいるというか、エーゲ海自体を知らなかったらしい。
この海岸ではとても人懐こい片目の猫に出会った。スリスリしてくるから、嬉しいやら病気とか大丈夫なのかやら、様々な思いが入り混じっていた。
部屋に戻ってからは久しぶりの湯船に浸かって、洗濯物をしたのちにベランダで星を見た。北斗七星がくっきりと見え、エーゲ海の対岸の人口の淡い光が見え、普段の生活とは真逆の光関係が好きだった。
今回の旅行ではぼーっとしていることが多い気がする。
日本にいるときは、空き時間を有効に使わなければ、という強迫観念みたいなものに襲われることがある。
今の自分には、ぼーっとただ時間を過ごすことに勇気がいると思う。
3年後のあとがき
やけにトイレについて考えている一日だったと思う。世界遺産のトロイについてはほとんど記憶がなくて、パーキングエリアのトイレとか、エーゲ海にいた猫とか、とても小さいことのほうが鮮明に思い出せる。
最近は大きな観光地に行った話ばかり書いていて、その観光地のそばにあるよくわからないサブストーリーみたいなものは削ぎ落としてばっかりだったなーって思った。そういう書き方をしているうちに、旅の仕方もそういうサブストーリーを省略するようになってしまっている気がする。
なんだかもっと、自分にしかわからないレベルの小さいことを大切にしたいと思った。
次はエフェスと買いもの編
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