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【読書感想文】有川浩「阪急電車」は、恋と愛を懐かしむあなたに読んで欲しい

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池上彰さんが「本当に自分の成長に繋がる本は実用書ではなく小説なんです」と言っておりました。実用書のほうが知識がまとまっているので勉強になると思いがちですが、小説のほうが"のめり込みまるで自分のことのように考えることができる"ため、読書への集中度合いがぜんぜん違うんですって

そんな感じで「久しぶりに小説でも読むかー」と図書館で手に取ったのが有川浩さんの"阪急電車"です。電車旅が好きなので

 

 

阪急電車

簡単なあらすじ

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車―人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。

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胸キュンというワードにちょっとした寒気が走りながらも、確かに胸キュンな作品でした。タイトルだけを見て手にとったため恋愛小説なのかもよくわかっていなかったのですが、これは当たりでした! ちなみに昔から恋愛小説はあまり読みません。大体人が死ぬ小説ばかり読んでます(ん?)

 

率直な感想はおもしろく、ぜひ読んで欲しい

はい。おもしろかったです。恋愛小説は苦手だったけれど、これはすんなり受け入れられました。なぜ受け入れられたのか、おもしろかったポイントは3つです。それは

  1. シナリオの進み方
  2. 共通敵の作り方
  3. 懐かしき恋愛

にわかれます

 

シナリオの進み方

この小説は阪急電車の一駅ごとに章があります。おもしろいのが複数の主人公がいる点で、一話のサブキャラが二話の主人公に、二話のサブキャラが三話の主人公にと主人公がバトンタッチを繰り返していくんです。さらにおもしろいのが伏線の回収の仕方で、電車の"行き"では伏線をばらまいていくのですが、折り返し地点からの"帰り"では伏線をキレイに回収していきます。この回収の仕方が本当にスッキリするので、読んでいて爽快になりました…

 

共通敵の作り方

次のポイントは共通敵です。もっと言えば "若者の共通敵を作るのがうまい"んです。「最近の若いものは…」って言われはするけれど、本当にマナーが悪いのっておばさんおじさんだろって私は思っています。電車の中で携帯の音が鳴るときって大体おばさんです。それなのにマナー広告では若い人が注意されることが多い。そんな不満、少しながら抱えていました。この阪急電車ではそうした "若者の共通敵"を清々しく退治していきます。これも爽快ポイントの1つでした。ご存知かもしれませんが私は性格悪いです

 

懐かしき恋愛

最後に強く押したいのが恋愛です。阪急電車では高校生、大学生、社会人と色んな恋愛が見られるのですが、これがどれも懐かしいんです。「恋愛の始まりってこんな感じだったよな…」と思いながら読んでいると、恥ずかしくなりながらもワクワクします。私はもう付き合って11年、結婚して3年経つもんで、かなり安定しています。でもこういう恥ずかしくも大切な時期を過ごしてきたはずなんですよね。それを思い出せただけでもう「読んでよかったなぁ…」と

 

心に残ったシーン

大学デビューに失敗した2人の恋が始まるシーンがあります。この2人が自分たちに似ているような気がして、恥ずかしくもあたたかくなりました。読んでいて恥ずかしくなるって感覚は久しぶりでした。恋愛小説ってそういうもんなんですかね。月9を見る主婦の気持ちがなんとなくわかりましたw

 

ここ微妙かなーと思ったところ

特に無いです。最高

 

有川浩の別の作品

図書館戦争

 

ライトノベルっぽいタイトル

本好きだし読んでみたいとは思いつつも巻数が多すぎて初心者には手を出しづらい 

 

まとめ

久しぶりに恋愛小説を読んでみると、「そういえば付き合った当初はこういう時期もあったなぁ」と思います。長く付き合っていると段々と浮き沈みのない安定した時期を迎えてきています。それはそれで良いんだけれど、ときにはドキッとすることがあってもいいのかなって思いました。はじめて映画を見に行ったとか、はじめてホテルに行った日とか、「普段通りの幸せも良いけれど、時々ワクワクするような付き合いも大切かもなー」と。そんなことを思える作品。良かったら読んでみてください。きっとあなたの町の図書館にも置いてあります 

 


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